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第5回スポーツ医科学「オスグッド病」

会報誌 第20号より

今回は成長期のスポーツによる膝障害として頻度の高いオスグッド病についてお話します。

オスグッド病は膝痛を訴える代表的な成長期のスポーツ障害であり、オーバーユース(使いすぎ)の一つと考えられます。小学校高学年から中学生(10歳から15歳前後)にかけて急に身長が伸びる時期に多く発症し、特に男児に多く好発します。

発症要因としては、大腿四頭筋を含めた膝進展機構の過緊張や大腿四頭筋による反復牽引力の関与が挙げられ、スポーツとしてはジャンプやストップなどを繰り返し行うスポーツに多く、サッカー選手でも多く認められます。

症状は脛骨粗面部に膨隆を認め、同部の圧痛、腫れ、運動時痛が特徴であります。

診断は以上の症状とX線像にて容易に可能ですが、初期の段階ではX線像に変化がなく、MRI検査が有用な場合もあります。

治療は保存治療が主体であり、患部の安静と運動の制限が必要となります。安静時痛を伴う重症例には運動を禁止することもあります。患者さんが小・中学生のため、障害に対する理解が不十分になることを考慮し、保護者やスポーツ指導者を含めた病態に対する理解が必要です。

運動前後の大腿四頭筋のストレッチングは有効であり、運動後の患部のアイシングも大切です。また、オスグッド病用ストラップの装用、下肢のアライメント(骨格上の骨の整列具合)の異常や足部の異常、変形が原因となる場合は足底板の使用も有効です。

手術治療となることは少ないですが、まれに難治例で遊離骨片の摘出が必要となることもあります。

予防法としては、柔軟性を維持するため大腿四頭筋のストレッチングやスポーツ後のクールダウンなどが重要です。また、オスグッド病は軸足に起こるケースが多いため、軸足への負荷軽減のためにジャンプやストップなどの動作は両下肢で均等に行うなど左右のバランスに配慮したトレーニングや、各人の能力・体力に合わせた練習計画を立てることも重要であります。

X脚などの下肢のアライメントの異常がある場合は筋力強化などでは対応しきれないため、シューズや足底板などの装具での対応が必要となることもあります。環境面では、ランニング時の道路の硬さ、表面の凸凹、登り下りの変化などが発症に関与するため、芝生や土の上などの軟らかいサーフェスでのトレーニングが望ましいです。

また、シューズの不適合やアウトソールの消耗による問題もあります。サッカーのスパイクの場合は衝撃吸収の面からはスパイクが短く、数が多いシューズが望ましいと考えます。

その他、成長期のスポーツによる膝障害としては膝蓋靭帯炎、有痛性分裂膝蓋骨、棚障害、離断性骨軟骨炎、腸脛靭帯炎、鷲(が)足炎などが挙げられます。

長びく膝痛、繰り返す膝痛を認める場合は、適切な治療が重要であり、整形外科受診をお勧めします。

社会保険桜ヶ丘総合病院 整形外科  林 克章